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債権取立不能の適時開示

 こんにちは中小企業診断士の中山です。
9月23日以降、東芝の「債権取立不能のおそれ」の適時開示が続いています。東芝テック、東芝エレベータなどの子会社を含みます。債権額はそれぞれ発生順に下記の通り。私が確認できたのは16件です。
64万円、46万円、16万円、約92万円、約2,543万円、約7万円、5万6,000円、9,000円、7万2,000円、5万6,000円、1,763万円、7万円、7万円、12万円、約190万円、約2万円

 上場会社の場合、日本取引所グループが「重要事実」を定めており、合併や業務提携など経営に重大な影響がある情報を開示することになっています。債権の取立不能又は取立遅延のおそれ(法166 条2項2号ニ、令28条の2第8号)も重要事実の項目となっています。ただし、債権の取立不能又は取立遅延のおそれに限らず、軽微基準も定められています。
 債務不履行のおそれのある額が最近事業年度の末日における純資産額の3%未満(取引規制府令50 条6号)であればあえて公表しなくてもいいと言うことです。

 計算式は、債権取立不能見込み額÷連結純資産<3%

 連結純資産なので子会社・関連会社を含みます。純資産額の3%未満であれば、自己資本比率や当期純利益への影響も軽微であるとことでしょう。しかし、東芝は2017年6月債務超過の猶予期間入り銘柄に指定。東証・名証2部指定替えとなりました。純資産がマイナスになっているため、すべての取立不能のおそれを開示しているのでしょう。
 シャープも4月に米2社破綻で日本円に換算して5,000万円強の取立不能の開示をしています。しかし同社は債務超過の猶予期間入り後には、「取立不能のおそれ」の開示はあまりなかったように記憶しています。

 「債権も少額であり、業績に与える影響は軽微」と東芝のIRには記載されています。確かに影響は少なそうですが、当面、少額債権の同様の開示は続きそうです。与信管理のコンサルティングをしているので、焦付き情報はいつもウォッチしています。少し気になったトピックなので備忘録的に投稿しました。

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戦略的経営のための与信管理に出席

 こんにちは中小企業診断士(経営コンサルタント)の中山です。
先日、11月5日に開催された「戦略的経営のための与信管理」(日経産業新聞フォーラム2012)に出席しました。
「戦略的経営のための与信管理」、副題は経営基盤安定と事業継続を担保するために。与信管理のイベントは少ないので貴重な機会といえるでしょう。

(1)基調講演:「金融円滑化法の出口戦略と与信管理」
      株式会社東京商工リサーチ 友田信男氏
(2)セッション1:「アジア企業の支払動向と、国内・輸出取引における売掛債権管理ソリューション」
      コファスジャパン信用保険会社 杉井淳氏
(3)セッション2:「グローバル経営に於ける”連結”与信管理戦略」
      三井物産クレジットコンサルティング株式会社 松本浩氏
(4)プレゼンテーション:「日経テレコンを活用した与信管理」
      日本経済新聞デジタルメディア
(5)セッション3:「売掛金管理のベストプラクティスと信用リスク管理~グローバルでどのように取り組むべきか~」
      サンガード・ジャパン株式会社 柳洋二郎氏
(6)特別講演:「与信管理のポイント~事故は人災」
      千葉商科大学大学院 客員教授 末松義章氏

 今回は海外取引での与信管理という切り口が多かったのが特徴です。大企業に限らず中小企業の海外進出も増え、また国内に拠点があっても海外取引は増えていくのでトピックであることに間違いはありません。

 もう一つ感じたのが、内部統制、リスクマネジメントが経営での比重を高めていく上で、与信管理の重要性も高まっているということです。子会社、関係会社の売掛債権のトラブルが表面化した事例もあり、三井物産クレジットコンサルティングのテーマのように「連結」の視点も必要です。
 私もセミナーなどでは同様のことをお話します。与信管理担当セクション(審査部門)というと、企業の中でどこか異質な部門という位置づけであることが多いのですが、組織で「浮いた存在」にするのではなく、もっと組織の中枢として機能させるべきです。もう少し言うと、平時には与信管理は注目されず、与信管理規程も埃をかぶっているけれど、大きな焦付きが発生すると、社内が蜂の巣を突っついたように大騒ぎとなり、「うちの与信管理体制はどうなっているんだ」と慌てる経営者は意外と多くいます。審査部門に様々な情報が集まるようにし、情報のハブ化を図るのもいいでしょう。民間信用調査機関でも、情報部に様々な情報が集約される仕組みになっています。

 あと三井物産さんは、「決算書分析を基準として世界中の企業の与信管理を実施していくべき」と提唱していましたが、サンガードさんは、決算書というもの物差しではなく、「売掛金回収業務の標準化を行なうことが最も重要だ」と主張されていたのが考え方の違いがはっきり別れて興味深かったですね。

 決算書分析は王道ではありますが、中小企業が与信管理体制を構築する場合、100%取引先の決算書を入手することは難しく、悩ましい問題であります。
 
 半日で盛りだくさんの講演内容でしたが、参加者も多く活況を呈していました。それだけ与信管理を真剣に考える企業が増えている証左でもあります。

与信リスクマネジメント講座

 こんにちは中小企業診断士(経営コンサルタント)の中山です。
去る11月11日(木)、18日(木)、「与信リスクマネジメント講座」(帝国データバンク主催)で講師をさせていただきました。ご出席いただきました皆様、ご来場・ご清聴ありがとうございました。私自身、帝国データバンクの出身で企業調査の経験があり、その後事業会社に転身し与信管理を担当しました。そして現在はコンサルタントの立場で、クライアント企業の与信管理構築の支援をしています。企業調査、与信管理の責任者、コンサルタントという3つの異なったスタンスをすべて経験したことが私の強みとも言えます。今回も企業内での与信管理活動だけでは、気づかない点についてもできる限り解説しました。
 
 出席者の皆様は真剣そのものでした。やはり中小企業金融円滑化法の終了が来年2013年3月に迫っていることも無縁ではありません。過去にもバブル崩壊や90年代後半の金融危機を機に、企業が取引先の与信管理を強化する局面がありましたが、円滑化終了後は与信管理関係者にとって間違いなくターニングポイントになるでしょう。そして再来年には消費増税も控えています。これからの2年くらいを見ても、企業経営において資金繰りが楽になる兆しはありません。与信限度額の見直しの頻度を高めるとともに、重点管理などの手法を取り入れ、売掛債権は自社でしっかり守っていくという強い意志を持つことが重要です。

 「与信リスクマネジメント講座」では、今後もお話させていただく機会があるかもしれません。今後も内容をブラッシュアップし役に立つ情報・ノウハウを提供していきたいと考えていきます。

金融円滑化法の行方と与信管理

こんにちは中小企業診断士の中山です。7月23日、東京商工リサーチ(TSR)から「国内410金融機関(2012年3月末時点)『中小企業円滑化法』に基づく返済猶予の実績調査」が発表されました。TSRは全国の中小企業の約1割が申請したと試算しています。
 調査の概要は下記の通り。中小企業円滑化法は以下、「円滑化法」と記します。
・円滑化法に基づく返済猶予の申込件数327万5,268件。うち実行件数は302万2,673件(住宅ローンを除く)
・実行金額ベースでは82兆3,022億9,600万円
・申込件数ベースで仮に1社が3行に平均2.5回(口)の条件変更等を申し込んだと仮定すると
 43万6,702社が申請したことに
・43万6,702社は、全国の普通法人と個人事業者の合計社数の約1割に相当
・富山県が申込率24.6%と最も高く、岐阜県が22.6%、東京都が20.2%と続く

 今後、金融機関は事業継続が危ぶまれる企業に対して、資産売却や廃業も視野に入れた対応を迫る一方、再建が難しい企業には代位弁済や担保権行使に移る可能性もあると、TSRは結んでいます。

帝国データバンク(TDB)も4月9日の「第5回『中小企業金融円滑化法』利用後倒産の動向調査」を発表しています。
こちらの調査概要は、
・2011年度の倒産件数合計は247件判明し、前年度の4.7倍に急増
・金融円滑化法利用の倒産は、累計300件に達した
・倒産主因別では、「販売不振」が248件(82.7%)を数え、全体の8割を超えた

 2社の調査を比べると、申込推定数43万6,702社に対して倒産件数は300件ですから、デフォルト率は0.068%といったところです(厳密に言うとTSRは申込件数ベースですので、実行件数で見ると倒産確率はもう少し高くなるでしょう)。9月末には、セーフティネット保証の対象業種の見直しも予定され、円滑化法も2013年3月に終了予定ですから、中小企業の資金調達の選択肢は少なくなっていく一方です。

 TDBの調査で気になるのは、実行後も販売不振が続き、倒産に至る件数が非常に多い点です。円滑法の利用により、事実上金融機関からの新規借入は難しくなります。反面、元本返済を減らし、いわゆる資金の「真水」を得ることができます。ただし、早期に収支を改善しなければ、真水効果は延命に過ぎず、いずれ資金がショートする危険性があります。私も円滑化法利用企業に対して、アドバイスを行なっていますが、売上回復策とともに、さらなる経費削減が必要になるケースが大半です。円滑化は根治療法ではなく、対処療法であるというのが実感です。しかし制度がないと中小企業者の1割が、資金繰りに窮するのも事実です。

 与信管理の面から見ると、1990年初頭のバブル崩壊後、97年の山一ショック、金融貸し渋り後、2008年リーマン・ショック後などに取引先の与信枠を積極的に見直す動きがありました。円滑化法終了は、与信管理上も歴史的なターニングポイントになる可能性が高いと言えます。大企業・中堅企業が取引先の与信枠・取引条件を見直すというだけではありません。円滑化法利用企業も、売掛金が焦げ付かないよう気を引き締めていくことが大切です。新たな資金調達が難しいのですから、売掛金遅延・回収難は即、資金ショートに繋がりかねません。

与信管理の重要性(2)

こんにちは中小企業診断士の中山です。昨日、不覚にも寝てしまいブログをアップするのを忘れてしまいました。久しぶりに与信管理の話を書きたいと思います。会社設立の投稿が続いた関係で丸2カ月書いていませんでした。

 与信管理とは、「売り手が買い手に対して、商品の引渡しから代金回収までに間に信用を与える」ことを言います。信用を与えるとは、一定金額までなら掛け売りをしてもいいという枠を設定することです。この取引額の設定方法がノウハウの塊です。業界特有の取引条件や担保設定、保証金など様々な要素も絡んできます。

ではなぜ与信管理を行うのか。その目的は、
・債権管理
・得意先管理
に大別することができます。「売掛金は丸裸?」(2010/2/15)でも書きましたが、売掛金回収がどの企業にとってもキャッシュフローの源泉です。売掛金回収の遅延は資金繰りの悪化につながります。あなたの会社の仕入先も、あなたの会社に対する与信額を適宜見直しているかもしれません。

 与信管理を導入するきっかけとして、
・一度、痛い目にあったため
・会社の内部管理体制を強化するため
・管理部長(経理・財務部長)が変わったため

などが多いでしょうか。平時に何事もないと、中々重い腰をあげないかもしれません。しかし、与信管理もリスクマネジメントの一環として取り組んでいくことが重要です。
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