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与信管理の重要性

 中小企業診断士の中山です。久しぶりに「売掛金管理・与信管理」について書きます。そろそろ与信管理にテーマを移すそうと思います。

 設立当初から与信管理が万全という会社はほとんどありません。取引社数も少なく、1社1社の動向を把握できるうちは、社長、CFOの勘どころで取引額を決めていることが多いようです。業容が拡大し、新規取引が増えきた頃や、痛い目にあって与信への取り組みを考える会社が多いように思います。痛い目で済めばいいのですが、焦げ付きが原因で倒産の憂き目にあうこともあります。

 帝国データバンク、東京商工リサーチといった民間信用調査機関が発表する「倒産集計」は、新聞の経済欄、経済誌にも取り上げられ、主要な経済統計の一つとなっています。この集計には、業界別動向、都道府県別動向などに加え、倒産要因も集計されています。
「販売不振」、「放漫経営」、「業界不振」、「設備投資の失敗」などとともに、「売掛金回収難」、「不良債権の蓄積」といった要因もあります。売掛金が不良化したことによる倒産も決して少なくありません。特に大口得意先に経営を依存している場合は「連鎖倒産」に巻き込まれる恐れもあります。連鎖倒産は取引先の経営に問題がある場合だけでなく、取引先も連鎖倒産に巻き込まれた結果、ドミノ倒しとなる場合もあります。

 かつて公共工事100%の建設会社に与信管理は不要であったかもしれません。しかし、公共工事の削減、談合の排除、競争入札への移行により、官公庁頼みの経営は立ち行かなくなりました。民需を獲得していくには、体力に応じた受注をこなしていくとともに、与信管理が必要になりました。「事業仕分け」の影響を受ける企業もあるでしょう。独立行政法人、公益法人の事業廃止、事業縮減の決定・勧告により、売上を依存してきた企業も今後は、販路開拓が必要です。
 病院、学校法人などノーマークであった取引も決して安泰ではありません。そして、国内市場が縮小していく中での激しい競争。競争に勝ち抜きつつ、債権管理も万全を期すのは簡単なことではなりません。
 
 今後、与信管理は重要性を増すでしょう。

売掛金の消し込み

 今回は売掛金の回収管理についてお話します。今までの記事は「売掛金・与信管理」カテゴリに収録されていますのでご参照ください。

イメージしやすいよう仮に月末回収ということにしましょう。

大まかな手順は、
(1)前日までに回収予定表を作成、回収種別・金額も整理
(2)31日にEBデータ、集金状況をもとに個別消し込みを実施
(3)回収予定と実績の差異を把握。差異原因のチェック
となります。

(1)は慣れるまでは一覧表を出力し、定規を使って赤いボールペンなどで消し込みしていくのがいいでしょう。赤い線が増えていくのは気持ちいいですよ。差異金額も色を変えて記入しましょう。(2)は午前中に1度消し込みをしたいところです。振込予約を利用している会社は午前中に入金なる場合が多く、銀行振込だけを想定すると午前中に80%以上の入金は完了するのではないでしょうか?手形取立や集金の目処もたっていれば、この段階で「未回収先」はかなり絞られているはずです。
 気になる取引先はこの時点でピックアップし、午後の消し込みに備えましょう。余裕があればWebで近況を調べてみたり、営業マンに回収日に相違がないか確認をします。

 そして15:00、消し込みが完了。異常値はすぐに原因を調べ、アクションをとります。売掛金回収状況は、営業との話合いですが、同時に仕訳担当者にデータを渡し、仕訳作業を依頼します。そして売掛金管理担当者と、仕訳担当者の間で売掛金残高が一致しているか確認します。一致していればOKです。
 売掛金の消し込みを早く正確に行うことにより、営業部門の支援にも繋がり、逆に不正チェックの一助にもなります。また明らかに誤入金だとわかる入金があった場合は取引先に連絡してあげると信頼感が増します。さらに言うと、資金繰り表作成を早めることができます。

 月末を例に説明しましたが、倒産は月末に集中する傾向にあります。月末最終日の数時間の作業が明暗を分けるかもしれません。

取引先の分類

売掛金管理の続きです。取引開始までの商談、日常の取引、入金のプロセス全体を見ないと取引先のタイプを判断することはできません。営業部門と売掛債権管理部門(または経理部門)で取引先の評価が違うことが稀にありますが、すべてのプロセスを見ないことが原因かもしれません。営業部門は取引がスムーズにいけば良い取引先ですが、債権管理サイドから見れば、「金払いがいいか、悪いか」が判断材料になります。営業部門が回収までしっかり見ている会社は、取引先の色々な顔が見えるようになるでしょう。

 最近、売掛金管理の話をさせていただく際は、NTTドコモの「SMART」「STYLE」「PRIME」「PRO」をたとえ話に取引先の分類を説明しています。あくまでも売掛金管理の話であり、与信管理を行う上ではアバウトな内容です。

SMART 
1度と取り決めた条件で取引を続けれくれる。売掛金管理が楽。振込手数料は先方負担

STYLE 
その会社独自の締め・支払い条件等がある。支払い方法は組み合わせ方法が多い。先方の支払明細書には文句がつけにくい。振込手数料は当方負担

PRIME 
仕入先を大事にしてくれる。総じて支払サイトが短い。金額が大きい手形の場合は金額を数枚に分けてくれる(これは電子手形導入前の話ですが)

PRO  
支払が渋い。支払い漏れがあるなど入金が読めない取引先。入金を期待して資金繰りを考えていると危険なことも。PROと言うとブラックジョークになってしまうので、実際はWICKED(意地悪な)、LOOSE(いい加減)と言う方が適当かもしれません。検収が長い、請求書の処理が遅いなどもあるかもしれませんが。

 PRIMEに属する企業の中には資金繰りを心配し、早めに支払ってくれる取引先もありました。今は内部統制や内部監査もあるのでそのような例外処理は難しくなっているでしょう。少し前までは仕入先の面倒をみてやろう、育ててやろうという気概がありました。

 資金繰り計画では、PRIME、SMART、STYLE、PROの順に入金予定を組んでいくほうが無難ですね。

 あと振込手数料は業界の慣習もあるので一概には言えません。イメージを際立たせるためのたとえですのでお間違えなきようお願いします。

売掛金の種別と回収方法

昨年11月より電子手形(電手)の取引がスタートしました。今年に入り、信金・信組もネットワークに参加し、国内取引がほぼカバーされるそうです。手形も便利な反面、必要金額だけを割引できない、期日の持ち込みが大変など不便な面もありました。電手により使い勝手が格段になりますね。11月に発行された電手も早ければ2月や3月末で期日を迎えるものがあるのでしょうか。

 さて今回は売掛金(受取手形を含む)の種別と回収方法について見てきましょう。基本的には、「現金」、「小切手」、「銀行振込」、「手形」、「回り手形」、「期日払い」、「相殺」などの形となりますが、それらが組み合わせとなる取引も存在します。「振込・相殺」、「手形・相殺」、「振込・手形」、「振込・期日払い」などです。これらの組み合わせをなるべく少なくシンプルにし、かつ回収サイトを短くする交渉を粘り強くしていくことが大切です。

 しかし、中には取引先の購買部門の交渉力が強く、条件を受け入れざるを得ない場合もあります。その場合でも売買契約書の内容や発注条件に関しては、十分理解し整理しておく必要があります。
個社別の取引一覧表(リスト)を作成し管理するところからまずうりはじめましょう。リストがあると取引先が多くなっても、売掛金の回収条件マスターの設定、回収予定表の運用、売掛金の消し込み作業のベースにもなります。
 このあたりの売掛金管理ができていないと与信管理は機能しません。

売掛金は丸裸?

 売掛金という勘定科目は、貸借対照表の流動資産に出てきます。企業には実に様々な資産が計上されています。預金や有価証券、不動産などの資産は、利息がついたり、値上がりによる売却益が期待できます(値下がりすることもありますが)。法律により保護されたり、損害保険に加入することにより万が一の損害をカバーできるものもあります。ゴルフ会員権などはエビデンスが手元にあります。

 それに対し、売掛金はどうでしょうか?契約書や発注書を整備している会社もある一方で、契約書や発注書がない取引が横行したり、あっても内容が”ザル”になっているケースはないでしょうか?
 売掛金は資産の中でも「特殊」な存在です。会社の資産でありながら手元にはないのです。取引先が払ってくれることを前提に計上しているに過ぎません。また売掛金は毀損する危険性(減るリスク)はあるものの、額面以上の金額を回収できることはありません。売掛金を対象とする保険もありますが、海外取引などを除き利用している企業はあまり多くありません。監査法人が企業を監査する場合、売掛金の確認状発送による残高確認を必ず行います。監査対象企業の内部では把握できないからです。そのため取引実態はあるか、取引は正式なものかの確認が必要なのです。
 売掛金は「大金」にも関わらず、手元になく守られもせず丸裸の状態になっていませんか?

 資金繰り表でもキャッシュフロー計算書でも「売掛金」は登場します。キャッシュフロー上、キャッシュインの主役は「売掛金」です。企業がキャッシュを得られる局面というのは実は多くありません。売掛金の回収が大半を占め、それに銀行借入が続きます。増資、資産売却益、補助金・助成金などによるキャッシュインは1年でそう何回もあるものではありません。
 資金計画で、売掛金の回収見込みが甘いと資金ショートの危険性が生じます。

 売掛金は企業経営にとってお金に直結するにも関わらず、常に危険に晒されています。気がついた時には遅かったというのでは泣くに泣けません。
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